N.T.E.ジャパン・クラブ事務局長が、英国の、日本の、
そして世界のナショナルトラスト活動など、ニュースをお届けします。
2007年9月1日(土)
1907年8月1日、いろいろなバックグラウンドを持つ20人の少年達が1週間、ブラウンシー島で実験的なキャンピングを実施しました。 一人ひとりの少年たちには、そのとき自分達が重要な歴史の一部になるなどとは、決して思ってはいなかったことでしょう。
このキャンプはロバート・バーデン・パウエルの指導によるもので、冒険と挑戦にあふれ、チームワークと市民活動、そして統率力の大切さを学ぶことが出来るように考えられたものでした。
このブラウンシー島でのキャンプの結果、バーデン・パウエルはこの野外活動の価値を確認し、翌年『少年のためのスカウト活動』を出版、このことが今日、世界の各地に見られるボーイスカウトやガールスカウトの活動が産声をあげた瞬間となるのでした。そのようなわけで、この島は世界中から多くのボーイスカウトやガールスカウトの隊員たち、そしてスカウトやガイド活動の関係者を「世界のスカウト活動発祥の地」としてひきつけているのです。
このブランウンシー島は、南西イングランドのドーセット州の港町、ボーンマスのプール港の沖合にドラマチックに浮かぶ202ヘクタール(東京ドームの約43倍)ほどの島で、この島を愛し、開発されるのを嫌ったオーナーから1962年に英国ザ・ナショナル・トラストが取得したものです。それ以来、当然英国ザ・ナショナル・トラストはその状態を維持してきたので、英国では絶滅危惧種にもなっている原産の赤リスの楽園にもなっているほど豊かな自然が守られているところでもあります。もちろん周辺は、英国ザ・ナショナル・トラストが取得して依頼、南西イングランド独特の穏やかな気候に恵まれ、ヨットやクルーザーの造船所や係留施設、ホテルや別荘などで変貌を遂げています。また近年、近隣に石油精製施設なども建設され、大きく変貌を遂げているのは指摘するまでもないことでありましょう。
そして、今年はバーデン・パウエルが当時のオーナーで招待したあの実験的な7日間のキャンピングから数えて、ちょうど100年目。スカウト活動の発祥の地の100周年ということで多くの催しが、ここブラウンシー島でも執り行われます。
そのメイン・イベントは、世界各国のスカウト団体の代表者が8月1日に島に集まり「サンライズ・セレモニー」を行うことだそうです。 でも、一般の人々にも9月15日と16日の2日間、家族を対象としたスカウト活動100周年の記念行事が開催されます。また、島にあるザ・ナショナル・トラストのビジター・センターで、スカウト活動の100年間をテーマとした展示会や、島をトレイルするガイド・ブックを設置するなど、多くの訪問者にこの機会に楽しんでもらえる準備も整えられています。
また、バーデン・パウエル野外活動センターもオープンします。このセンターは、ブラウンシー島のキャンピングの施設を補完するもので、トイレやシャワー、教室なども含まれています。
センターの建物は、周囲の景観に溶け込むかのような設計で、暖房は最低限に抑え、バイオマスのボイラーを備え気候変動にも配慮した施設となっています。 そして、建材は再生・継続が可能なところからの木材を使っているのです。英国ザ・ナショナル・トラストは、今年団体でブラウンシー島を訪れる場合、数々の活動から参加するものを事前に決め、予約してから訪れるようにアナウンスしています。
野外活動から多くを学ぼうとするスカウト活動と、その発祥の地を所有し未来に引き継ごうとするザ・ナショナル・トラスト。 その環境保護の方針と、スカウト活動の理念であるところの「来たときと同じ状態で帰ること」とは、本当にうまく調和した素晴らしい組み合わせではないかと感心してしまいます。
-以上 ザ・ナショナル・トラストのウェブ・サイト他から