ミノル・ヤマダ
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事務局長のザ・ナショナル・トラストレポート

N.T.E.ジャパン・クラブ事務局長が、英国の、日本の、
そして世界のナショナルトラスト活動など、ニュースをお届けします。

2006年6月1日(木)

英国にあるもうひとつのザ・ナショナル・トラスト。
スコットランド・ナショナル・トラストをクローズアップ!

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英国ザ・ナショナル・トラストの正式名称は"The National Trust for Places of Historic Interest or Natural Beauty in England, Wales and Northern Ireland (イングランド、ウェールズおよび北アイルランドの歴史的名勝および自然的景勝地のためのナショナルトラスト)"です。すぐに「あれ?スコットランドが入っていない。」と気づかれた方は英国通。 ひとことで英国と言っても、正式には連合王国。国旗や独自の言語を持つ4つの国々で形成されています。ですから、スコットランド人に「あなたはイングリッシュですか?」と問うと、「いいえ!私はスコティッシュです。」と返事がかえってくることになるのです。

なぜ、英国ザ・ナショナル・トラストにスコットランドが入っていないのか。
それは、1931年(昭和6年)にスコットランド・ナショナル・トラスト(The National Trust for Scotland)が設立され、別団体として活動しているからです。かたや英国ザ・ナショナル・トラストの設立は1895年(明治28年)。どうしてこんなに時期がずれているのでしょうか。

スコットランドは、連合王国としての英国の中で、最も独立性の高い国。イングランドほど産業革命による環境破壊がひどくなかったこともあり、英国ザ・ナショナル・トラスト設立時からすでに対象からはずされていました。しかし、設立から4年後の1899年、スコットランドに支部を開設すべきであるとの決議がなされ、創設メンバーが首都エディンバラまで出向いてザ・ナショナル・トラストへの参加を呼びかけましたが、そのときには何も起こりませんでした。

先見性と自主性が特徴のナショナルトラスト活動。やはり地元の人々がみずから動き出さないと、スタートは無理。結局、彼らが必要性を感じ、スコットランド・ナショナル・トラストが正式に産声をあげたのは1931年だったというわけです。

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ふたつのザ・ナショナル・トラスト。どちらも目的と組織はよく似ていますが、それぞれ独自に法律を制定し、風土に合わせた展開を見せています。ただ、スコットランドは人口密度が低く、無秩序な開発が比較的少なかったということもあり、プロパティ(保護資産)を獲得するという熱意がそれほどでもなかったといわれています。けれども、セント・キルダ島(スコットランドの世界遺産第1号)やフェア・アイル諸島など、船でしか訪れることができない素晴らしい景勝の地を保有しています。

データでご紹介すると、会員数は現在27万人。英国ザ・ナショナル・トラストの340万人と比べると少ないように見えますが、スコットランドの人口が、英国の全人口の10%にあたる510万人であることを思えば相当な数だということがお分かりいただけるのではないでしょうか。
プロパティは128ヵ所あり、そのすべて合わせた面積は約760平方km。英国ザ・ナショナル・トラストの31%にあたります。

すでにスコットランドで最大のNPOになっているスコットランド・ナショナル・トラスト。組織やテリトリーは違っても、「永遠に、みんなのために(For Ever,For Everyone)」という思いは同じ。訪れた人々に感動を与えるような美しい自然と、貴重な歴史・文化の遺産を英国ザ・ナショナル・トラストと連携し、次世代に引き継ぐ活動に取り組んでいます。

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