ミノル・ヤマダ
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事務局長のザ・ナショナル・トラストレポート

N.T.E.ジャパン・クラブ事務局長が、英国の、日本の、
そして世界のナショナルトラスト活動など、ニュースをお届けします。

2005年11月1日(火)

推理小説ファン待望!"ミステリーの女王"
アガサ・クリスティーゆかりの館グリーンウェイが、
ついに一般公開に向けて動き始める。

9月のレポートで、フローレンス・ナイチンゲールゆかりのプロパティ、クレイドン・ハウスをクローズアップしましたが、今回も英国ザ・ナショナル・トラストの広報から新たに発表された、有名人に関わる情報をご紹介します。ミステリーの女王、アガサ・クリスティーのデボン州にある夏の別邸グリーンウェイが、いよいよ一般公開に向けて動き出しました。

デボン州

このグリーンウェイのあるデボン州は、イングランドの南西に突き出したコーンウォール半島中ほどの南側にあり、"イングランドのリビエラ"と呼ばれる英国人憧れの保養地。アガサにとっては1890年に生を受け、1976年に亡くなるまで愛し続けた故郷です。彼女がこの地にグリーンウェイを購入したのは48歳の時。デボン州のブリックサムという海辺の街の近く、トーキー湾へ流れるダート川河岸のみどり滴る風光明媚な場所です。

今から5年前の2000年、アガサの娘ロザリンドさんと彼女の夫アンソニー・ヒックスさん、そして孫のマシュー・プリチャードさんによって、この館や敷地をそのままの姿で残すべく、英国ザ・ナショナル・トラストへ寄贈が申し出られました。今現在は全体で112ヘクタール(甲子園球場の76倍)の敷地のうち、10分の1強におよぶ12ヘクタールの庭園とボート・ハウス、フットパスがすでに一般公開されています。

その後、昨年ロザリンドさんが亡くなり、今年になって夫のヒックスさんが後を追うように亡くなりました。すでに建築上の価値から、「歴史的建造物グレード2」(英国文化財保護制度で、3以上の段階は保護される)に登録されているグリーンウェイ。この建物の美しさと歴史を、さらに人々に楽しんでもらうためにはどのようにすればいいか、英国ザ・ナショナル・トラストは孫のプリチャードさんとともに検討してきました。

グリーンウェイ

プリチャードさん側からの条件は、一階の居住区にクリスティー家の人々が今後とも住み続けること。そこで英国ザ・ナショナル・トラストが出した館のプランは、1階の適切な場所や庭園を訪問者に公開し、2階と3階はホリデー・コテッジ(貸し別荘)やスタッフの宿泊施設、倉庫として活用するというもの。展示品は、アガサの親戚たちがグリーンウェイの一般公開部分で展示するために彼女の愛用の品々や、趣味の考古学のコレクションを数多く貸し出してくれることになりました。 ただ、今後のステップとしては、まず展示品をリストアップしてカタログを制作。あわせて館を広範囲に渡って修理や修復することが必要。そのためには220万ポンド(約4億4千万円)の費用が、一般公開されるまでの3年間に必要となりそうです。

英国ザ・ナショナル・トラストは、2002年から庭園を一般公開していますが、この広大な敷地と庭園全体を、アガサが散策を楽しんでいた頃のような状態に復元し、維持・公開していくためには、先述した館の補修費用とは別に110万ポンド(約2億2千万円)が必要です。そのために英国ザ・ナショナル・トラストは資金獲得キャンペーンを行っている最中です。

グリーンウェイのプロパティ・マネージャー、ロビン・ブラウンさんによると、「※デイム・アガサやそのご家族など、多くの人々の努力が今日のグリーンウェイの姿となっているのです。訪れる人々に、そんなグリーンウェイの歴史や、この素晴らしいダート川の入り江地帯に住んだ人々の人となりを理解してもらうことが大切です。この不可欠の3年間の修復作業中も、ザ・ナショナル・トラストの活動として見ていただくために、特別ガイド・ツアーで公開するつもりです。詳細は来年になったら発表しますよ。」とのこと。
※デイムとは、男性の「サー」にあたる女性の称号

現在修復中の広大な庭園のあちらこちらに、そしてこれから修復されるグリーンウェイの思わぬところに、アガサ・クリスティーの新たなミステリーが発見されるなんてことがあるかも。3年後が待ち遠しいですね。

—以上、英国ザ・ナショナル・トラスト公式サイト2005年8月分ニュースなどからご紹介

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